宮沢賢治 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
シグナルとシグナレス 宮沢賢治 「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 さそりの赤眼が 見えたころ、 四時から今朝も やって来た。 遠野の盆地は まっくらで、 つめたい水の 声ばかり。 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 凍えた砂利に 湯げを吐き、 火花を闇に まきながら、 蛇紋岩の 崖に来て、 やっと東が 燃えだした。 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 鳥がなきだし 木は光り、 青々川は ながれたが、 丘もはざまも いちめんに、 まぶしい霜を 載せていた。 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 やっぱりかけると あったかだ、 僕はほうほう 汗が出る。 もう七、八里 はせたいな、 今日も一日 霜ぐもり。 ガタンガタン、ギー、シュウシュウ」 軽便鉄道の東からの一番列車が少しあわてたように、こう歌いながらやって来てとまりました。機関車の下からは、力のない湯げが逃げ出して行き、ほそ長いおかしな形の煙突からは青いけむりが、ほんの少うし立ちました。 そこで軽便鉄道づきの電信柱どもは、やっと安心したように、ぶんぶんとうなり、シグナルの柱はかたんと白い腕木を上げました。このまっすぐなシグナルの柱は、シ
宮沢賢治
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