小川未明 · 일본어
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원문 (일본어)
今も尚お、その境地から脱しないでいる私にあっては、『貧乏時代』と、言って、回顧する程のゆとりを心の上にも、また、実際の上にも持たないのでありますが、これまでに経験したことの中で、思い出さるゝ二三の場合について、記して見ます。 何と言っても、はじめて、作家に志してから、苦しんだことは、独自の境地を行こうとする努力と、その作品を直に金に換えなければ、衣食することができなかったことです。文壇の大勢に、時としては、反抗したものを書き、それを売らなければ、ならぬということは、すでに其処に矛盾が存していたからです。 少しの貯えもなく、家庭に欠乏を告げているにかゝわらず、机に向って、自分の理想を描こうとする――そこには、精神だけの飛躍が許されるとしても、直にペンを下に置いたと同時に、物質の欠乏から来る不安と悩みが感じられる。この二重の苦痛に悶々とした時代であります。 自分の信ずるものを書き、それを金にしなければならぬ。そういう悲劇的な場合にあって、殆んど、狂熱的に、自己を鞭打ったものは、自分の意志より他にない。そして柔順で、献身的であった、妻の愛に救われたというより他に、何ものかありません。『彼は、
小川未明
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