中谷宇吉郎 · 일본어
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원문 (일본어)
此の十年余り、海といへば太平洋岸の海しか見てゐないのであるが、時々子供の頃毎年親しんだ日本海の夏の海を思ひ返して見ると、非常に美しかつたといふ思ひ出が浮んで来る。 日本海の沿岸には一般に砂丘がよく発達してゐる。浪打ち際から真白な砂が数丁も続いて小高い丘になり、その丘を越えたあたりから松林になつてゐるのが普通である。そしてその松林を抜けた所に初めて漁村が見えることが多い。それといふのは、冬の日を海が一つ荒れて来ると、数丁も続いた砂丘の上まで浪が押し寄せて来るので、とても海辺の近くに家などを構へてゐることは出来ないのである。 渚に沿つてたどつて見ると、そのやうな真白な砂丘が暫く続いて軈て小さい岬につくことが多い。その岬は大抵の場合は軟質の岩からなつてゐて、冬の荒浪に段々根本を洗ひ去られて、恐ろしい断崖になつてゐる。そしてさういふ岬が半里毎位に突き出てゐる所では、その間が小さい入江になつて、真白な砂浜が弓なりに静かな青い夏の海をふちどつてゐるのに屡々出会ふのである。岬の端には大抵きまつたやうに、盆栽風な枝振りの松が孤立して立つてゐて、あとは黒く続いた松林になつてゐる。 中学の頃夏休みになると
中谷宇吉郎
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