伊藤野枝 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
宛先 大坂市西区松島十返町 武部種吉様方発信地 東京市外巣鴨村宮仲二五八三 お手紙拝見。大坂に来てゐると云ふことはやつと半月ばかり前にききました。東京に来たのだつたら尋ねて来ればよかつたのに。本郷の菊富士ホテルと云ふことは今宿のうちでも代のうちでも知つてゐる筈、一寸きいてから来ればよかつた。うちからは四五日前たよりがあつた。突然に、盆前に金を送つてくれるやうにとの事だつたけれど、もう日数がないから、とりあえず手許にあつた拾円だけ送つて置きました。私も毎月でも送りたいと思ふが、流二を他所に預けて、その方に毎月十円近くとられるので、三十円や四十円とつた所でどうすることも出来ないのに、この二三ヶ月は体の具合がわるくて少しも仕事をしないで遊んでゐるので一層困ります。出来さえすればどうにでもするつもり。今宿へは今年一杯はかへれないと思ふ。来年になつたら早々にかへります。大阪には、もうよほどお馴れか、少しは知つた人が出来ましたか。私も時々はたよりをするから、そちらでも時々はハガキ位は書いて欲しい。こちらに用があつたら、面倒な事でなかつたら足してあげる。入用なものでもあつたら、とゝのへて送つてあげ

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