伊藤野枝 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
□先月は随分つまらないものを出したので大分方々からおしかりを受けました。そのうめ合はせに今月は特別号にして少しよくしやうかと思ひましたけれど何しろちつとも準備が出来てゐませんから来月にしやうと思つてゐます。□だん/\いゝ時候になつて来ました。暫く一緒に集まる機会がなくて過ぎました。近いうちに静かな処で一度会を開きたいとおもつてゐますが集まつて頂けるでせうかお茶でも飲んでしんみりと皆でお話したいと思ひます。□この頃は頼まれないからなどゝ原稿をお書き下さらない向きもあるさうですが、私は原稿と云ふものは人にたのまれたからといつて書けるものでもないし頼まれないからいゝものが書けないつてこともないものだと思つてゐますのでどなたにかぎらず自信のあるいゝものが頂けるのをだまつて待つてゐるのです。却つてお頼みして無理にいやなのをわざ/\お書き下さるのも御迷惑と思はれますし私の方でもお願ひして書いて頂くからにはどうしてもつい出さねばならぬと云ふやうにわるい情実をこしらへることになりますからほしくてたまらないのをだまつて下さるのを待つてゐるのです。ですから何卒そんな偏屈――でもないでせうが――な考へをおす

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