大倉燁子 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
「くそッ! また鳩だ。これで四度目か」 立松捜査課長は、苦り切った表情で受話機を切ると赤星刑事を顧みて、吐き出すようにそう言った。 平和の使者と言われる鳩が、悪魔の使となって、高価な宝石を持つ富豪の家庭を頻々と脅かしているのである。 この訴えを聞いてから早くも一カ月余りになるが、未だに犯人の目星さえつかず、あせりにあせっている矢先、またしても今の訴えだ。 「今度は誰です?」 赤星刑事は、眼を輝かしながら、急き込むように尋ねた。 「杉山三等書記官の処だ。氏は目下賜暇帰朝中で東京にいるが、明後日の東洋丸で帰任することになっている。君も知っての通り米国娘と婚約中なので、お土産に素晴らしいダイヤを銀座の天華堂から買ったんだ。それが昨日の午後だ。ところが今日五時頃外出から帰ってみると、大きな包みが届いている。それが君、例の鳥籠なんよ。中にはお定まりの伝書鳩が一羽入っていて、その脚に手紙と小さな袋が結えてあり、 汝が昨日求めたダイヤをこの袋に入れ、鳩につけて放すべし。もしこの命令に反かば、汝の生命無きものと覚悟せよ。 と例の凄い脅し文句が書いてあると言うんだ」 捜査課長は立上りながら、外套に手を通

翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。