尾崎士郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
去年(昭和二十一年)の歳末、鈴木信太郎さんがひょっこりやってきて一杯飲みながら、いろいろな画を描いていってくれた。鈴木さんがびっこをひきながら私の住む伊東の町はずれまで来るのは並大抵のことではなかったであろう。口に出してこそ言わなかったが私の流謫生活を憐れみ、私を慰めるためにやってきたのである。私は感興のうごくにしたがって鈴木さんに勝手な注文をしいろいろな画をかいてもらった。鈴木さんはこんど帝展の審査員になったそうであるが、そんなことは鈴木さんの画家としての価値にいささかも増減を加えるものではなく、私は唯、鈴木さんのような人柄のひとが審査員になったということを世間通俗の人情の上でよろこばしいことだと思っている。概して鈴木さんの画は色彩に重点がおかれているようであるが、それに童話的な線のうつくしさがぴったりと調和して豊かな人生味がうまれてくる。私は今まで鈴木さんのように気楽にのびのびと画をかいている人を見たことがない。もう少しもったいをつけたらどうかと思われるようなところでも鈴木さんはらくらくとつきぬけていってしまう。画のすきな子供が画を描かずにいられないような素直さを鈴木さんは今なお失
尾崎士郎
翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。