梶井基次郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
詩集『戰爭』 梶井基次郎 私は北川冬彦のやうに鬱然とした意志を藏してゐる藝術家を私の周圍に見たことがない。 それは彼の詩人的 career を貫いてゐる。 それはまた彼の詩の嚴然とした形式を規定してゐる。 人々は「意志」の北川冬彦を理解しなければならない。この鍵がなくては遂に彼を理解することは出來ないであらう。 彼は「短詩運動」「新散文詩運動」を勝利にまで戰ひ通して來た。終始一貫して。新しい詩壇は今やその面目を一新してゐる。韻文は破壞された。韻文的なもの――古臭い情緒――は姿を消して、新しいエスプリが隨所に起つた。「表現の單純化」「效果の構成」は古い詩人達の詩型にまで及んでゐる。嘗てはわれわれに親しかつた古い歌ひ振りの詩を今日に於いて省みるならば、われわれはそれがもう全く讀めないものになつてゐるのに驚く。「口説き」は五月繩く、讀んでしまつて何等のヴイジョンがなかつたことに氣付く。時代は明らかに一新したのである。 北川冬彦は終始この運動の尖端に立つて戰つてゐた。身をもつて。彼ははじめから他の人々のやうに一枚の古い衣裳も纏つてはゐなかつた。カモフラージユなしで戰つたのである。最も新しい、「
梶井基次郎
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