木下夕爾
木下夕爾 · 日本語
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木下夕爾 · 日本語
全文
原文 (日本語)
とある家の垣根から
蔓草がどんなにやさしい手をのばしても
あの雲をつかまえることはできない
遠いのだ
あんなに手近にうかびながら
とある木の梢の
終りの蝉がどんなに小さく鳴いていても
すぐそれがわきかえるような激しさに変る
鳴きやめたものがいつせいに目をさますのだ
町の曲り角で
田舎みちの踏切で
私は立ち止つて自分の影を踏む
太陽がどんなに遠くへ去つても
あの日石畳に刻みつけられた影が消えてしまつても
私はなお強く 濃く 熱く
今在るものの影を踏みしめる
●図書カード
木下夕爾
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