幸田露伴
幸田露伴 · 日本語
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幸田露伴 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
馬琴の小説とその当時の実社会 幸田露伴 皆さん。浅学不才な私如き者が、皆さんから一場の講演をせよとの御求めを受けましたのは、実に私の光栄とするところでござります。しかし私は至って無器用な者でありまして、有益でもあり、かつ興味もあるというような、気のきいた事を提出致しまして、そして皆さんの思召に酬いる、というような巧なる事はうまく出来ませぬので、已むを得ず自分の方の圃のものをば、取り繕いもしませんで無造作に持出しまして、そして御免を蒙るという事に致すことにしました。ちょうど温かい心もちが無いのではありませんが、機転のきかない妻君が、たまたまの御客様に何か薦めたい献りたいと思っても、工合よく思い当るものが無いので、仕方なしに裏庭の圃のジャガイモを塩ゆでにして、そして御菓子にして出しました、といったような格でありまして、まことに智恵の無い御はずかしい事でありますが、御勘弁を願います。 さてその智恵の無い談話の題目は「曲亭馬琴の小説とその当時の実社会」というのでございます。題の付けようが少し拙いか知れませんが、私の申し上げてみようというのは、その当時、即ち馬琴が生存して居た時代との関係が、どん
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