坂口安吾
坂口安吾 · 日本語
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坂口安吾 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
檀君が五右衛門を書くために、はじめて大阪へたつという晩、私たちは銀座で酔っ払った。石川淳もいたようだ。新大阪の記者が檀君につきそっていたね。彼が汽車に乗りおくれないように監視するためであった。 酔っ払う檀君と、それを監視しつつある記者君との滑稽な悪関係は、五右衛門が完結するまでひきつづいて行われる運命のようである。 しかし檀君の監視者は新大阪の記者君だけではないのである。彼は年中誰かに監視されている。私のところへ現れるにも、たいがい監視者をひきしたがえて現れる。共に酔い共に泣くという美談があるが、檀君の場合はすこし、ちがうね。監視者が泣くのは原稿ができないためであるし、檀君が泣くのはワッハ、アッハと笑いすぎるためである。 しかし、檀君もよく戦った。五右衛門を書くことは特に勇ましい戦のようであったらしいね。 彼の五右衛門は明るい。そしてカッタツである。監視者の涙のように清冽でもある。特に文章がダイナミックで、天に飛ぶように躍動している。 だが何よりもこの小説の魅力を構成しているのは、底に鋭くひそみ、みなぎっている作者の詩魂でしょう。 「誰だ?」 と、玄八、おどろく。 こういう文章を、檀君
坂口安吾
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