坂口安吾 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
私は先ごろパンパンガールと会談した。土地の親分が案内してくれて、彼女らのタマリ場の喫茶店で、あつまつてくる彼女らと話をして、ひそかに速記の名人が速記をとつたのであるが、その土地にはビッグファイブと云つて五人の姐さん株がをり、各々配下のパンパンガールがゐるのだが、その姐さんの一人と、配下の二三人、それからパンパンの足を洗つて結婚したもの、事務員になつたもの、それだけの方々と話をしたのである。改つて話をしたわけではなく、親分の友達、兄弟分のふれこみでフラリとお茶をのみに来たていで話しかけたもので、たいがいのことは親分が誘導的にきいてくれて、この親分がまた訊き上手だから、パンパンガールズも腹蔵なく喋りまくつてくれた。 結婚したのも事務員になつたのも、いづれもブラリと偶然遊びに来たもので、よびあつめたわけではなかつたのである。 パンパンガールは総体に明るい。売笑窟に定住してゐる娼婦に比べて、暗さといふものが殆どないし、荒み方もすくない。勿論荒みはあるけれども、娼家の娼婦の荒みと全然異るもので、インチキ・バアの女給よりも、無邪気であり、明るい。 その原因はたぶん住所がないといふこと、したがつて誰
坂口安吾
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