坂口安吾
坂口安吾 · 日本語
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坂口安吾 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
「なア、ベク助。貴公、小野の小町の弟に当る朝臣だなア。人に肌を見せたことがないそうだなア。ハッハッハア」 五忘にこう云われて、ベク助は苦い顔をした。イヤなことを云う奴だ。この寺へ奉公して足かけ四年になるが、五忘の奴がこう云いはじめたのは今年の夏からのことである。そのときは、 「貴公、めっぽう汗ッかきだが、肌をぬがねえのがフシギだなア」 「ヘッヘ。お寺勤めの心掛けでござんしょう」 「ハッハ。それにしちゃア、毎晩縁先からの立小便はお寺ながらも風流すぎるようだなア」 なぞと云っていた。 肌を見せてはならぬ曰くインネン大有りのベク助だが、まさかその秘密が見ぬかれたワケではあるまい。 とは云え、この寺の奴らときては油断のならぬ曲者ぞろいだ。 今はなくなったが、芝で七宝寺といえば相当な寺であった。ところが、維新の廃仏毀釈に、この寺が特に手痛く町民の槍玉にあげられたが、それは住職の三休が呑む打つ買うの大ナマグサのせいであった。 けれども三休はおどろかない。坊主には惜しい商魂商才、生活力旺盛であるから、お経なんぞあげない方が稼ぎになろうというものだ。その上目先がきいているから、仏像がタダ同然値下りのド
坂口安吾
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