坂口安吾
坂口安吾 · 日本語
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坂口安吾 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
小生もついに別荘の七ツ八ツ風光明媚なるところにブッたてようという遠大千万なコンタンによって「捕物帳」をかくことゝなり、小説新潮の案内で、箱根の谷のドン底の温泉旅館へ行った。 このへんは谷川といっても川の趣きではなくて、流れの全部が段をなした瀑布であり、四方にはホンモノの数百尺の飛瀑も落下している。音があると思う人には、これぐらいウルサクて頭痛の種のところもないかも知れないが、無神経の私には、こんなに音のないところはなかった。隣の話声も、帳場のラジオも、宴会室のドンチャン騒ぎも、蝉の声も、一切合財、きこえない。女中が唐紙をあけてはいってくるのが、跫音も、唐紙をあける音もきこえないから、忽然として、女中が現れている。忍術の要領である。文明国のどこを探しても、こんなに物音のないところはないのである。私はラジオの音が何より仕事の邪魔だが、ここではその心配が完全にない。大そう私向きの旅館であった。その代り、殺人事件があっても、きこえない。ここで捕物帳を書いていると、そういうことを時々考えてゾクゾクすることもあり、おのずから捕物帳の心境となって、探偵気分横溢しすぎるキライがないでもない。 この旅館
坂口安吾
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