佐藤垢石 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
小田原の筑紫誠一氏から、海岸でガラガラの投げ込み釣が大そう面白いからやって来ないか、という手紙が来たので、十六日午後から行って見た。ガラガラ釣とは、リール竿の海釣である。金属で作ったリールでなく、小田原の刳り物屋が作った木製の大きなリールで、それに約四十尋の人造テグスの太い道綸を巻き込み、竿は二本継一丈位。すこぶる頑丈に出来ている。鈎は二本の枝鈎で長い方が三尺、短い方が二尺、鈎は袖形の八分鈎素は磨きテグスの一厘五毛乃至二厘柄である。錘は円錐形十五匁から三十匁位まで用い、その日の浪の高低により付け替える。鈎素は錘の上約二寸位のところへ結ぶのである。 餌は袋イソメと芝エビの肉を刻んでつけるが、袋イソメの方が断然成績がいい。筑紫氏が万事用意をしておいた。釣れるものは大きな白ギス、イシモチ、黒鯛、セイゴ、縞イサキ、夜釣ならば太いアナゴが盛んに釣れるという。四、五日前の夜小田原の某氏は長さ約三尺のフカの子を引っかけ三、四時間奮闘してとうとう浜へ引き上げてしまったという手柄話もある。だから夜は何が来るかわからない。すこぶる興味があるのである。 酒匂川の川尻、即ち小田原の東方酒匂松濤園裏の淡水とかん
佐藤垢石
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