相馬御風 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
先生は逝きたまひけりその事のあまり大きく語るに惑ふ 生き死にのさかひはすでに打越えてゐたまひにけむしかは思へど もぐ/\とみくち大きくうごかしてハムレット、マクベス講じたまひし みそとせの昔もすでに老先生と呼びまゐらすにふさひたまひし ふる城の大き旗竿倒れしにたとへし人の言うべなはむ 老いてます/\創作欲のつのり來しに逆らはずぐん/\生き了せましき 先生の亡きあともなほ二もとの老木の柿はならび立てりとふ(熱海双柿舍をおもふ) いとせめて一度はたづねまをさまくひた願ひつつ終に果さゞりし おんふみのたびにわがこと案じたまひ仰せたびにし言は忘れじ 島村先生夙に亡く今し又老先生をおくりまつらく 若き師も老師も共に同じ國へゆきましけむかわれただ泣かゆ おのが身の弱きにかまけみはふりにまいもまうでずわれただ泣かゆ 佛壇にみあかしともし香焚きてひとり泣きつつ拜みまをしぬ 老先生に對しまつりても若先生に對しまつりてもわがままなりし我 わがままな片意地なわれの生き方を先生はつひにうべなひたまひし 先生におわかれ申しはたとせをかそけくひとり生きて來にけり しなさかる越路かそけき片隅にわがひとりゐて先生をお
相馬御風
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