高村光雲
高村光雲 · 日本語
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高村光雲 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
佐竹の原に途方もない大きな大仏が出来て、切舞台で閻魔の踊りがあるという評判で、見物人が来て見ると、果して雲を突くような大仏が立っている。客はまず好奇心を唆られてぞろぞろ這入る。――興業主は思う壺という所です。 大入りの笊の中には一杯で五十人の札が這入っております。十杯で五百人になる。それがとんとんと明いて行くのです。木戸口で木戸番が札を客に渡すと、内裏にもぎりといって札を取る人がおります。これは興業主で、その札によって正確な入場者の数が分るのであります。初日は何んでも二十杯足らずも笊が明いて、かれこれ千人の入場者がありまして、まず大成功でした。 ところで、物事はそう旨く行きません。―― 初日の景気が少し続いたかと思うと、早くも六月に這入り、梅雨期となって毎日の雨天で人出がなくなりました。いずれも盛り場は天気次第の物ですから、少し曇っても人は来ない。またこの梅雨が長い。ようやく梅雨が明けると今度は土用で非常な暑さ、毎日の炎天続き、立ち木一本もない野天のことで、たよる蔭もなく、とても見物は佐竹原へ向いて来る勇気がありません。ことに漆喰塗りの大仏の胎内は一層の蒸し暑さでありますから、わざわざ
高村光雲
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