寺田寅彦 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
ラジオ・モンタージュ 寺田寅彦 プドーフキンやエイゼンシュテインらの映画の芸術的価値が世界的に認められると同時に彼らのいわゆるモンタージュの理論がだいぶ持てはやされ、日本でもある方面ではこのモンタージュということが一種のはやり言葉になったかのように見える。この言葉の意味については本家本元の二人の間にも異論があるそうであって、これについては近ごろの読売新聞紙上で八住利雄氏が紹介されたこともある。 このモンタージュなるものは西洋人にとってはたしかに非常な発見であったに相違ない。そうしてこれに対する解説を近代的な言葉で発展させればいろいろむつかしくも言えるようであるが、しかしわれわれ日本の旧思想の持ち主の目から見れば実質的にはいっこう珍しくもなんともないことのように思われてしかたがない。つまり日本人がとくの昔から、別にむつかしい理論も何もなしにやっていた筆法を映画の上に応用しているようにしか思われないのである。 たとえば昔からある絵巻物というものが今の映画、しかもいわゆるモンタージュ映画の先駆のようにも見られる。またいわゆる俳諧連句と称するものが、このモンタージュの芸術を極度に進歩させたもの
寺田寅彦
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