中谷宇吉郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
今度の四巨頭會談で、アイクはついに、世紀の大政治家の列に加わったようである。チャーチルの格になったと、歐洲の言論界では、言っているそうである。 先年の大統領選擧で、アイクは初めかなり苦戰であった。相手のスティヴンソンは、ウィルソンの再來といわれる人で、現代アメリカの知性を代表する人とされている。一度テレビで、スティヴンソンの演説をきいた人は、一遍でスティヴンソン黨になってしまう。南部の黒人の票は、大勢を左右するともいわれるが、スティヴンソンが一度南部を回ると、黒人の間にも、彼の人氣が壓倒的になって來る。一度アイク危しとまで言われたものであるが、最後に蓋をあけてみたら、アイクが「地すべり的」の大勝利になって、報道界なども、あっと言ったものであった。 その理由として、二つ擧げられているが、一つは「もし自分が大統領になったら、朝鮮の戰爭は止めてみせる」という、アイクの聲明が、大いに効いたのである。アメリカ國内では、とくに婦人の間には、朝鮮戰爭は非常に不人氣であった。韓國人のために、自分の夫や戀人が死ぬことを、皆が喜ばなかったからである。 今一つの理由は、スターリン(当時まだ生きていた)やチャ
中谷宇吉郎
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