中谷宇吉郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
日本の低温科學は、外國がそう熱心にやっていないという理由によって、現在のところは、比較的進歩した側に立っている。この方面の日本の學問が、世界の中で或る程度の門戸を張って居られるのは、その蔭に、鐵道當局の援助が、相當有力な背景をなしている。 雪や寒氣に對しては、鐵道は、昔から強い關心をもっていた。信越地方に於ける雪崩の問題、北陸、東北の全線に課せられた除雪の問題、北海道の凍上の問題、それに近年は電線着雪の問題など、皆、鐵道當局が、イニシアチイヴをとって、研究を開始したものである。 凍上については、札幌鐵道局が音頭をとって、五カ年計畫を立てて、基本的な面から、この問題と、とり組むことになった。偶々戰時下にあった滿鐵が、同じ問題で惱んでいたので、その兩者からの依頼もあって、かなり大仕掛けの研究が爲された。その結果、凍上の機巧が一應判明し、その對策についても、原則的の案は立った。といっても、何か一寸おまじない的な祕法を施せば、凍上がぴたりと止まるという方法が見附かったわけではない。排水と、路盤の改良とを、漸進的に進めるという、常識的な方法である。この分り切った話は、北海道の各所で、地道に實施さ
中谷宇吉郎
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