新美南吉
新美南吉 · 日本語
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冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
はじめて世に出る童話集なので、心のなかでひやひやしてゐます。昨年、良寛さんの伝記物語「手毬と鉢の子」を出すときにも、それは私がはじめて書いた本なので、ひやひやしました。しかし、こんどはまたこんどで、別な不安があります。 前の本は伝記物語でした。つまり、良寛さんといふりつぱなお坊さんがじつさいにゐて、その人の書き残したものや、その人について書かれたものもいろいろあつて、私はそれらのものを土台にして書けばよかつたのです。いひかへると、前の本は、良寛さんと私とのふれあひから生まれたのでした。 ところが、この童話集は、まつたく私一人の心から生まれたものです。久助君、兵太郎君、徳一君、大作君達は、みんな私の心の中の世界に生きてゐるので、私の村にだつてそんな少年達がじつさいにゐるのではありません。さういふわけで、これは純粋な私の創作集ですから、もし少年諸君が、これらの物語を読んでちつとも面白く思はないならば、それはすつかり私のおちどになつてしまふのです。 君達が面白いと思つてくれるかくれないか――それがいちばん心配です。わけても、私の使つた言葉のことが気にかゝります。ほかのやさしい童話ばかり読んで
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