萩原朔太郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
受難の日はいたる 主は遠き水上にありて 氷のうへよりあまた光る十字すべらせ 女はみな街路に裸形となり その素肌は黄金の林立する柱と化せり。 見よやわが十指は晶結し 背にくりいむは瀧とながるるごとし しきりに掌をもつて金屬の女を研ぎ 胴體をもつてちひさなる十字を追へば 樹木はいつさいに轉し 都は左にはげしく傾倒す。 ああ十字疾行する街路のうへ そのするどさに日輪もさけびくるめき 群集をこえて落しきたるを感じ いのり齒をくひしめ 受難の日のひくれがた われつひに蛇のごとくなりて絶息す。 ●図書カード
萩原朔太郎
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