萩原朔太郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
ラムネといふもの、不思議になつかしく愉快なものだ。夏の氷屋などでは、板に丸い穴をあけて、そこに幾つとなく、ラムネを逆さにして立てて居る。それがいかにも、瓦斯のすさまじい爆音を感じさせる。僕の或る友人は、ラムネを食つて腹が張つたと言つた。あれはたしかに瓦斯で腹を充滿させる。 だがこの頃、ラムネといふものを久しく飮まない。僕の子供の時には、まだシヤンパンサイダといふものがなく、主としてラムネを飮用した。この頃では、もうラムネが古風なものになり、俳句の風流な季題にさへもなつてしまつた。それで僕が上野に行くと、あの竹の臺の休み茶屋でラムネを飮む。それがいかにも、僕を田舍者らしく感じさせ、世間を離れた空の上で、旗のへんぽんたるものを感じさせる。僕はラムネを飮むと、ふしぎに故郷のことを聯想するから。
萩原朔太郎
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