長谷川時雨
長谷川時雨 · 日本語
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長谷川時雨 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
明治座今昔 長谷川時雨 芦寿賀さんは、向う両国の青柳といった有名な料亭の女将でもあった。百本杭の角で、駒止橋の前にあって、後には二洲楼とよばれ、さびれてしまったが、その当時は格式も高く、柳橋の亀清よりきこえていたのだ。横浜にいった最初の旦那は、判事さんだというものもあったが、その人はどうしたことか切腹してしまったのだ。 だからおしょさんが、お嬢さんあいての月謝をすこしばかり集めて、二絃琴なんぞ教えているということは、めんどくさかったろうと思う。慰さみ半分の閑を消すためだったかもしれない。 おしょさんの家の箪笥の上の飾りものの数は言いつくせない。およそ美術的にかざった玩具の数々――ああした趣味もこれからの世間には見られまい。下品なものはなかった。隣家に常磐津の老婆師匠が越して来て、負けずに窓のある部屋へ見えるように飾りたてたりしたが、覗いて見ると、それは子供にも不思議に思えた男の子のつけているもののかたちを、かざりならべておがんでいた。 おしょさんの家へは、綺麗な娘さんたちが多く来た。みんな美しい人だった。お母さんや、ばあやさんの自慢の娘さんたちだった。鴛鴦に鹿の子をかけたり、ゆいわた島
長谷川時雨
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