久生十蘭
久生十蘭 · 日本語
翻訳はまだありません。翻訳リクエストでスケジュールを早めることができます。
久生十蘭 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
川風 「阿古十郎さん、まア、もうひとつ召しあがれ」 「ごうせいに、とりもつの」 「へへへ」 「陽気のせいじゃあるまいな」 「あいかわらず、悪い口だ。……いくらあっしが下戸でも、船遊びぐらいはいたします。……これがあたしの持病でね。……まア、いっぱい召しあがれ」 川面から映りかえす陽のひかりが屋根舟の障子にチラチラとうごく。 むこうは水神の森。波止めの杭に柳がなびき、ちょうど上汐で、川風にうっすら潮の香がまじる。 顎十郎のとりもちをしているのは、神田の御用聞のひょろ松。その名のとおり、麹室のもやし豆のようにどこもかしこもひょろりと間のびがしていて、浅黒い蔭干面が、鷺のようにいやにひょろ長い首のうえにのっかっている。長いことにかけては、顎十郎の顎と好一対。 酒と名のつくものなら、金鯛にも酔う男。それが、屋根舟で、むやみと斡旋をしようというのだから、これには、なにかいわくがありそう。 矢つぎばやの追っかけ突っかけで、顎十郎、さすがにだいぶ御酩酊のようす。 ぐにゃりと首を泳がせて、 「ときに、ひょろ松、お前、今年、いくつになる」 「へえ、三十……に、近いんで」 「お前の三十にちかいも久しいもん
久生十蘭
翻訳状況
待機中ログイン後に翻訳をリクエストできます。
よくある質問
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
無料でご利用いただけます
会員登録なしですぐに読み始められます。さらに多くの書籍と機能は無料会員登録後にご利用いただけます。