ホワイトフレッド・M · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
ジョン・レスブリッジの眼の前には、様々な色が点々と踊っていた。中はとても暑かったので汗が額に噴き出し、黒髪も濡れてべったり。鉢から顔を上げ、やっと腰を伸ばした。長いこと作業して、我慢できなかった。 温度計を見れば、ほぼ摂氏四〇度を差している。外も同じぐらい暑い。というのも雷雨が南から来て、むしむしする暗夜だったからだ。 小温室の明かり数灯を高段に移したが、温度は変わらない。換気口の新品綿網すら、通風を妨害しているような気がする。 どの棚の花々も華麗、蒸し暑い環境で咲き誇り、生き生きしているのは、ガラス温室ならではだ。でも、レスブリッジの関心はこれらの花じゃなく、足元の浅底苗床にあった。苗床の上部は細長い筒になっており、中に電球が煌々と輝いているため、新緑の葉っぱが暗紫色に見える。 種類ごとに区分けされ、芽生え直後のものから、群葉して開花前のものまであった。すべてナデシコ科で、いずれカーネーションが咲きそろう。中でも大ぶりにかがみ込み、慈しまんばかり。膨らみ始めたつぼみを、らくだの刷毛でやさしくなでて、つぶやいた。 「どんな花が咲くかなあ。人生の盛りをこんなばくちに三年も費やすなんて。競

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