宮本百合子
宮本百合子 · 日本語
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宮本百合子 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
十月下旬行われた作家同盟主催の文学講習会のある夜、席上でたまたま「亀のチャーリー」が討論の中心となった。ある講習会員が「亀のチャーリー」をとりあげ、その作品は一般読者の間で評判がよく親しみをもって読まれたから、ああいう肩のこらない作品の型もプロレタリア文学の中にあってよいのではないかという風に問題をおこし、プロレタリア文学のジャンルの問題に連関させていた。 その晩、自分は最後の時間をうけもっていたのでおそく出席し、そもそもその講習会員がどんな発端からそういう話をはじめたのかわからず、鹿地亘が意見を述べるのを聞いていた。「亀のチャーリー」について問題とすべきはプロレタリア文学としての創作方法の問題であって、ジャンルの問題ではないということが説明されていた。自分はそのとき「亀のチャーリー」をよんでいなかった。帰って注意ぶかく読んだが、はたして「亀のチャーリー」はプロレタリア文学の中にあってもよいという種類の肩のこらぬ作品であったろうか? 藤森成吉が『改造』九月号に発表した小説「亀のチャーリー」は、三十年もアメリカに移民労働者として辛苦の生活をしている動物と子供のすきな日本人中野が、市場で亀
宮本百合子
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