宮本百合子 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
歌集『集団行進』に寄せて 宮本百合子 『集団行進』をいただき、大変に興味ふかく、得るところも多く拝見しました。巻頭の序文によると、この集は最近一年間において短歌をつくる労働者作家が非常にふえたことを一つの特徴として示しているとのことです。 この一年と云えば私が不自由な拘禁生活を自身の深い経験の一つとして過した月日であり、その間に外では、短歌の形で自分たちの生活の感情を表現しようとする意志が勤労階級の中から高まって来た月日であったと考えると、私にとってはまことに意味深い示唆が与えられます。この一年間の私たちの生活というものは、歌人でない者にも何かの形でその心持をうたわずにはおれない思いをさせる程のものであったと云うことが出来ましょう。今日の現実は、風流なすさびと思われていた三十一文字を突破して、生きようと欲する大衆の声を工場から、農村から、工事場・会社・役所から、獄中からまで伝えて来ている。その点で、この二百頁に満たぬ一冊の歌集がきょうの日本の歌壇に全く新しい価値をもって現れているという渡辺さんの言葉は確に当っていると思われます。そして、それぞれの歌がそれぞれの作者の生活の面を反映させて

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