富永太郎 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
母親は煎薬を煎じに行つた 枯れた葦の葉が短かいので。 ひかりが掛布の皺を打つたとき 寝台はあまりに金の唸きであつた 寝台は いきれたつ犬の巣箱の罪をのり超え 大空の堅い眼の下に 幅びろの青葉をあつめ 棄てられた藁の熱を吸ひ たちのぼる巷の中に 青ぐろい額の上に むらがる蠅のうなりの中に 寝台はのど渇き 求めたのに求めたのに 枯れた葦の葉が短かいので 母親は煎薬を煎じに行つた。 ●図書カード
富永太郎
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