野村胡堂
野村胡堂 · 日本語
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野村胡堂 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
「親分、笑っちゃいけませんよ」 「嫌な野郎だな、俺の面を見てニヤニヤしながら、いきなり笑っちゃいけねえ――とはどういうわけだ」 銭形平次とガラッ八の八五郎は、しばらく御用の合間を、こう暢気な心持で、間抜けな掛合噺のような事を言っているのが、何よりの骨休めだったのです。 「親分にお願いしてくれ――って言うんだが、化物退治じゃねえ」 「化物退治は洒落ているね。場所はどこだい」 「金沢町の升屋なんで」 「両替屋の升屋かい」 「そうですよ。――升屋のお内儀が、銭形の親分さんの御機嫌のいい時、そっとお願いしてみてくれ。詳しい事は、いずれお目に掛ってお話するけれど――って」 「馬鹿だなア。岡っ引に化物退治を頼む奴があるものか。――そんな口なら、岩見重太郎の方へ持って行くがいい」 銭形平次は、こんな事を言うのです。 「その岩見重太郎てぇのは、どこの岡っ引で?」 「ハッハッハッハ、こいつは秀逸だ。岩見重太郎が驚くぜ。岡っ引と間違えられちゃ」 「だって、あっしはまだ、岩見重太郎なんて野郎に逢ったこともありませんよ」 「そうだろうとも、俺も逢ったような気はしねえ」 「へッ、呆れたもんだ」 どこまで行っても
野村胡堂
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