野村胡堂
野村胡堂 · 日本語
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野村胡堂 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
屑屋の周助が殺されました。 佐久間町の裏、ゴミ溜めのような棟割長屋の奥で、魚のように切られて死んでいるのを、翌る朝になってから、隣に住んでいる、蝮の銅六という緡売りの、いかさま博奕を渡世のようにしている男が見付け、町内の大騒動になったのです。 周助はもう六十に手の届いた男、鉄砲笊を担いで江戸中を廻り、古着、ガラクタ、紙屑までも買って歩いて、それを問屋に持込み、わずかばかりの口銭を取って、その日その日を細々と送っている屑屋ですから、人に怨まれる筋などのあるべきはずもなく、そうかといって泥棒につけ狙われるほど、纏まった貯えのありそうな人間でもなかったのです。 ガラッ八の八五郎は、平次の指図でとにもかくにも飛んで行きました。 「八兄哥、もう遅いよ、下手人は挙がったぜ」 それを迎えて、路地一パイの大きな顔を見せるのは、お神楽の清吉です。 「ヘエー、そいつは手廻しがよかったね」 ムッと来たのを顔にも出さずに、この縄張荒らしに微笑をさえ見せるように、近頃の八五郎は鍛錬されていました。が、その微笑の苦渋な歪みは、八五郎の意志ではどうすることも出来ません。 「三輪の親分が、蝮の銅六を挙げて行ったよ。今
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