野村胡堂
野村胡堂 · 日本語
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野村胡堂 · 日本語
冒頭段落プレビュー
原文 (日本語)
「八、近頃お前は、大層な男になつたんだつてね」 錢形平次は、珍らしく此方から水を向けました。ガラツ八の八五郎が縁側へ腹ん這ひになつて、手長猿のやうに遠方の煙草盆を引寄せ、默つてお先煙草を二三服立て續けに吸つたところへ冠せた話のきつかけです。 「それほどでもありませんがね。――尤も人を助けるといふのは、まことに、良い心持のもので」 「大きいな、さうしてゐるところは大した貫祿だよ」 「ところが、叔母さんと來た日にや、あつしの人助けを、お節介の物要りの、無分別の大馬鹿野郎だといふんですよ。――女の古いのはどうしてあんなに口が惡いんでせう。尤も近頃は助けた娘と氣が合つて、すつかり仲好しになつたやうですが」 「叔母さんの言ふのが本當かも知れないよ。お前の叔母さんは、少し頑固だが、根が正直で氣の優しい人だ。――兎も角お前が若い女一人を拾つて、向柳原の叔母さんの家へ連れ込んだ經緯を話して見るが宜い。俺はそれを聽いてから、とくと思案を定めることにしよう」 平次は草花いぢりで少し泥になつた手を叩いて、八五郎と並んで縁側に腰を掛けると、八五郎の手から煙管を取上げて、藁で縛つた五匁玉から、少し馬糞臭いのを器
野村胡堂
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