Vol. 2May 2026

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楽聖物語

野村胡堂

私は、私の流儀に従って、日頃尊敬する大音楽家の列伝を書いた。それは、あくまでも私の生活を通して見た大作曲家で、私の抱懐する尊崇と、愛着と、驚嘆と、そして時には少しばかりの批判とを、なんの蔽うところもなく、思うがままに書き連ねたものである。 私はかつて考証のために書かなかった。事実の羅列のためにも書かなかったつもりである。私は大音楽家達に対する心持を、散文詩の

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消えた霊媒女

大倉燁子

「あなたは美人で有名だった小宮山麗子という霊媒女がある大家へ招ばれて行って、その帰りに煙のように消えてしまった不思議な事件を覚えていらっしゃいましょう?」 「はあ覚えております。もうあれから十年近くもなりはしません? あの当時は大した評判でございましたわね。でも、あれは到頭判らずじまいになったんではございませんか?」 「ええ、あれっきりなんです。でも美人だっ

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機密の魅惑

大倉燁子

「ある夫人――それは私の旧友なのですが――からこうした手紙を度々受取らなかったら、恐らくこの事件には携らなかったろうと思います」 S夫人は一束の手紙の中から一つを抜き出して渡してくれた。それは藤色のレター紙に細かく書かれたものであった。 S夫人! 私はもうすっかり疲れてしまいました。 こんどの任地では徹頭徹尾失敗です。夫の愛は彼女に奪われ、在留民からは異端者

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恐怖の幻兵団員

大倉燁子

遠くの方でベルが鳴ったと思っていると、忽ち寝室のドアがはげしく叩かれ、 「先生、先生お客様ですよ」 せっかちの家政婦に起された。 枕時計を見ると朝の六時だ。私立探偵なんて職業を持っていると、とんでもない時間に訪問を受けることがしばしばある。そういう人に限って、厄介な用件を持ち込むものだ。私は舌打ちしながら、毛布をすっぽりと被ぶったまま、 「やかましい! これ

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黒猫十三

大倉燁子

本庄恒夫と辰馬久は篠突く雨の中を夢中で逃げた。体を二つにへし折り、風に追われながら、夜の市街をひた走りに走った。その時、一緒に馳けていた辰馬久が、ふいと身を転して横町へ折れた。続いて曲ろうとした途端、本庄は行手の暗がりから、ぬッと出て来た大男が、辰馬の後を飛ぶ如く追跡するのを見た。 「危い! 捕りやしないか?」 ぎょッとして思わず心で叫びながら、立ち縮んだ。

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今年の抱負

大倉燁子

元旦の朝はその一年というものが非常に長いように思われる。三百六十五日あるのだから長いのはあたりまえだが、その一日を無駄なく、大切に暮らしたら相当何か出来るはずなのだ。 今年こそは大いに勉強して、自信のある作品とまではゆかなくとも、せめて、恥しくない、顔の赤くならないものを書きたい。 私は来る年毎に必ずそれを考えるのだが、まだ一度だって実行出来たためしがない。

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最初の印象

大倉燁子

江戸川先生に始めてお目にかかったのはもう二十年近くも前のことです。 池袋のお宅のお座敷で、先生をお待ちする間、私の心は好奇心と不安が交錯していました。 と、いうのは、その頃。 「江戸川乱歩先生のお書斎にはドクロがつるしてある。お化けの人形がぶら下っている、その無気味な雰囲気の中で、先生は深夜人の寝鎮るのを待って、蝋燭の灯で仕事をされる」等々の記事が雑誌に掲載

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鷺娘

大倉燁子

「まゆみちゃん、何のお話かと思って飛んで来たら、いやあよ、またあの縁談なの? 私はやっぱり一生独身で、芸術に精進する積りなんだから、お断りしますよ」 百合子はさっぱりと云った。 まゆみは彼女が一度いやだと云い出したらどんなにすすめてみたところで無駄だと知っていたので、黙っていると、百合子はまゆみの気持ちを損じたとでも思ったのか、駅前の闇市で買ってきたという南

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深夜の客

大倉燁子

女流探偵桜井洋子のところへ、沼津の別荘に病気静養中の富豪有松武雄から、至急報の電話がかかり、御依頼したい件が出来た、至急にお出でを願いたい、と云ってきた。 有松は如才ない男だ。殊に婦人に対しては慇懃で物優しく、まことに立派な紳士であるが、どういうものか洋子は彼を好まなかったので、ちょっと行き渋ったが、職業柄理由なく断わるのもよくないと思い、午後四時四十分発の

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心霊の抱く金塊

大倉燁子

ツイ二三日前のこと、私達は赤い丸卓子を囲んで昂奮に汗ばんだ顔を並べ、心霊学者深井博士の話を、熱心に聞いていた。もう秋だというのに恐ろしく蒸し暑い晩だ。 「金塊はたしかにあった。この眼で見てきたのだから間違いはない、価格はまず五億万円ほどだ」 と云って、口を真一文字にきゅッと結び、皆を見廻した。隣席にいた人は、その時、思わず低い呻きのような歎声をもらした。 ×

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蛇性の執念

大倉燁子

一つの事件の解決がつくと、S夫人はまるで人間が変ったように朗かになる。それが難しい事件であればあるほど、すんだあとは上機嫌だ。 「また何か変ったお話、聞かせて下さいましな」 そういう時を狙っては、彼女からいろいろ面白い話を聞いた。 S夫人はテーブルの上のチェリー・ブランデーの瓶をとって、美しいカット・グラスに注いで自分も呑み、私にもすすめながら云った。 「上

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情鬼

大倉燁子

「小田切大使が自殺しましたよ」 夕刊をひろげると殆ど同時にS夫人が云った。その瞬間、私の頭の中をすうッと掠めたある影――、それは宮本夫人の妖艶な姿であった。 小田切大使の自殺に宮本夫人を引張り出すのはちょっと可笑しいが、私の頭の隅に、二十年前の記憶が今なお残っていたからであろう。 その当時は小田切大使も宮本夫人もまだ若かった。少壮外交官の彼と彼女とは到る処で

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魂の喘ぎ

大倉燁子

××新聞社の編集局長A氏は旧侯爵藤原公正から招待状を貰った。彼は次長を顧みて、 「君、これを読んで見給え、特種階級も大分生活が苦しいと見えて、藤原侯が家宝売り立てをやるそうだ」と白い角封筒を渡した。 次長は中味を引き出すと低い声で、 「拝啓、菊花の候益々御多祥奉賀候、就ては来る十月十五日拙宅において、いささか祖先珍重いたせし物、当家としては家宝とも称すべき品

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鳩つかひ

大倉燁子

「くそッ! また鳩だ。これで四度目か」 立松捜査課長は、苦り切った表情で受話機を切ると赤星刑事を顧みて、吐き出すようにそう言った。 平和の使者と言われる鳩が、悪魔の使となって、高価な宝石を持つ富豪の家庭を頻々と脅かしているのである。 この訴えを聞いてから早くも一カ月余りになるが、未だに犯人の目星さえつかず、あせりにあせっている矢先、またしても今の訴えだ。 「

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美人鷹匠

大倉燁子

小夜子は夫松波博士の出勤を見送って茶の間に戻ると、一通の封書を受取った。裏にはただ牛込区富久町とだけ書いてある。職業柄、こうした差出人の手紙は決して珍らしいことではないが、これは優しい女文字でしかも名前がない、彼女は好奇心にひかされて主人宛の親展書であるにかかわらず、開封した。 「旦那様!」という書き出しにまず眉を曇らせ、キッとなって読み始めた。 「あなた様

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素晴しい記念品

大倉燁子

フランスの片田舎に一人の科学者があった、年はもう五十に近いが独身で、兄弟もなく、友達もなく、淋しい孤独生活であった。彼の唯一の趣味は絵を描くことである。最初は静物を、後には人物、ことに若い女ばかりを描くようになった、が、不思議なことに彼に雇われて行ったモデル女はそれぎり姿を消してしまい、紹介者のところに戻って来ないのだ。初めは気にも留めなかったモデル紹介者も

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梟の眼

大倉燁子

陽子は珍らしく早起きして、朝のお化粧もすませ、ヴェランダの籐椅子にながながと両足を延ばし、ココアを飲みながら、頻りに腕時計を眺めていた。 客間の置時計が九時を打つと、それを合図のように玄関のベルが鳴って、貴金属商の杉村が来た、と書生が取りついだ。貴金属商というのは表面で、実は秘密に婦人達の間を廻り歩いている、損料貸しなのである。指輪や時計の交換などもやるので

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耳香水

大倉燁子

五六人の有閑夫人からなりたった『猟奇と戦慄を求むるの会』にS夫人が招かれた。 「世間に発表されていない、面白いお話を一つ願います」 幹事のA夫人の言葉につづいて、 「平凡でなく、奇抜なところをどうぞ――」 「息づまるようなお話がうかがいたいのよ」 「偽りのない、ありのままのがいいのね」 「実際にあったことでなくっちゃあ刺戟がないわ」といろいろな注文が続出する

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むかでの跫音

大倉燁子

福知山から三田行に乗り換えた時には、もう汽車の中にまで夕闇が迫っていた。 園部の新生寺の住職――それは亡夫の伯父なのだ――が急死したという電報を受取ると直ぐ東京から馳けつけて来て、この三日間というもの、通夜だ、葬式だ、とおちおち眠る暇もなかった。亡夫側の親類や知人ばかり集っている中で、気兼しながら暮したので、日数は僅だが、すっかり疲労れてしまい、帰りの列車に

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和製椿姫

大倉燁子

私が玄関の格子を開けると、母が馳け出して来て、 「御殿山の東山さんからお使いが見えたよ、今朝っから、三度も」と急きこむように云った。 「どんな御用?」 「重大事件なんだって、至急、御相談したいから、日名子さんがお帰りになったら、直ぐお出で下さるようにって」 「事務所の方に電話くれればいいのに――東山さんなら事務所から直接行った方がずッと近いのにねえ」と、私は

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鉄の処女

大倉燁子

寒い日の午後だった。 私は河風に吹かれながら吾妻橋を渡って、雷門の方へ向って急ぎ足に歩いていた。と、突然後からコートの背中を突つくものがあるので、吃驚して振り返って見ると、見知らない一人の青年が笑いながら立っていた。背の高い、細長い体に、厚ぼったい霜降りの外套を着て、後襟だけをツンと立てているが、うす紅色の球の大きなロイド眼鏡をかけている故か眼の下の頬がほん

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アンケート

大倉燁子

ハガキ回答 ☆読者、作家志望者に読ませたき本、一、二冊を御挙げ下さい。 ☆最近の興味ある新聞三面記事中、どんな事件を興味深く思われましたか? フィルポッツの「赤毛のレドメイン一家」を井上良夫様の御訳で拝見して感動いたしました。バルナビー・ロスの「Yの悲劇」この春頃の新聞にあった「国際婦女誘拐魔」の記事を面白いと思いました。(『ぷろふいる』第三巻第一二号、一九

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魔性の女

大倉燁子

会社を退出した時には桃子にも連れがあったので、本庄とは別々の電車に乗ったが、S駅を降りると、彼はもう先に着いて待っていた。 二人は腕を組んで夕闇の迫った街を二三町も歩くと、焼け残った屋敷街の大きな一つの門の前に立ち止った。 桃子は眼を丸るくして、門冠りの松の枝を見上げ、 「あんた、このおやしき?」 「うん。素晴らしいだろう? 会社への往きかえりに毎日前を通っ

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妖影

大倉燁子

応接室に入った時、入れ違いに出て行った一人の紳士があった。 「あれは私の従兄なんですよ」 S夫人は手に持っていたノートを私に渡しながら、 「お暇があったら読んでみて頂戴な。あの従兄が書いたんですの」 「文学でもなさる方ですの?」 「否え、商売人なんです。最初の目的は別の方面にあったのですが、若い時はちょっとした心の弛みから、飛んでもない過失をやる事があります

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