Vol. 2May 2026

도서

공개저작물 세계 지식 라이브러리

14,981종 중 9,000종 표시

春近き日

小川未明

お母さんが、去年の暮れに、町から買ってきてくださったお人形は、さびしい冬の間、少女といっしょに、仲よく遊びました。 それを、どうしたことか、このごろになって、お人形は、しくしくと泣いて、お嬢さんに願ったのであります。 「どうか、私をお母さんのところへ帰してください。」と申しました。 少女は、どうしていいかわかりませんでした。お人形のお母さんがどこにいるかとい

JA
원문만

春の遠山入り (易老岳から悪沢岳への縦走)

松濤明

松濤 明 単独 昭和十五年 三月二十三日 晴 伊那八幡―越久保―汗馬沢(泊) 二十四日 晴 汗馬沢―小川路峠越―下栗―小野(泊) 二十五日 晴 小野―易老渡―白薙窪―面平(ビバーク) 二十六日 風雪 面平―易老岳(ビバーク) 二十七日 晴 易老岳―光岳とのコル―引返し易老岳―仁田岳(ビバーク) 二十八日 晴 仁田岳―上河内岳―聖岳(ビバーク) 二十九日 晴 

JA
원문만

春雨

宮城道雄

春雨 宮城道雄 家の者が、「座右寶」に梅原氏の絵が出ていると言うので、私はさわらせて貰った。さわってみても私に絵がわかる筈はないが、それでもやはりさわってみたい。いろいろと説明を聞きながらさわっている中に、子供の時に見た絵を想像した。 子供の時に見た絵を思い出してみると、主に人物で、景色の絵などはかすかである。私の前にお膳があるとか、茶碗がのっているとか、火

JA
원문만

春雨の夜

永井荷風

雨戸がしまったので午後から降出した雨の音は殆ど聞えなくなった。 女中の知らせに老夫婦は八畳の茶の間へ来て、膳の前に置かれた座布団に坐ると二人ともに言合したように身のまわりを見廻した。 昨日まで――昨日の夕飯の時までこの八畳の茶の間にはもう一脚膳が出されてあったのだ。然し今夜はもうその膳は出されていない。寅雄という一番末の男の子は今朝米国へ留学に行った。 去年

JA
원문만

春雨にぬれた旅

田山花袋

志摩から伊勢、紀伊と旅して行つた時のことが第一に思ひ出される。其時、私は糸立を着て、草鞋を穿いて歩いて行つた。浜島から長島までの辛い長い山路、其処には桃の花の咲いてゐる畑もあれば、椿の花の緑葉の中に紅く簇つてゐる漁村もあつた。五ヶ所を通つた時は、空のよく晴れた日で、渡つて行く舟の櫓の音が、湖水のやうな静かな入江に響き渡つた。 蒼い顔をした、真面目な、物に感じ

JA
원문만

春雪

久生十蘭

四月七日だというのに雪が降った。 同業、東洋陶器の小室幸成の二女が、二世のバイヤーと結婚してアメリカへ行くのだそうで、池田藤吉郎も招かれて式につらなった。式は三越の八階の教会で二十分ばかりですんだが、テート・ホテルで披露式があるというので、そっちへまわった。 会場からほど遠い、脇間の椅子に掛け、葉巻をくゆらしながら窓の外を見ると、赤い椿の花のうえに雪がつもり

JA
원문만

春雪の出羽路の三日

喜田貞吉

昨年十一月に始めて出羽の踏査に着手したその続きを、この春の休暇中にやってみたいと思っている折から、山形県史蹟名勝天然記念物調査委員会の開会式が行われるので、やって来ぬかと理事官の有吉君から言って来られた。これ幸いとさきに御厄介になった庄内の阿部正己君に、同地方遺蹟踏査の御相談に及ぶと、このころはまだ雪が深くてとても駄目だとのお返事だ。冗談じゃない、こちらでは

JA
원문만

春風の吹く町

小川未明

金さんは、幼い時分から、親方に育てられて、両親を知りませんでした。らんの花の香る南の支那の町を、歩きまわって、日本へ渡ってきたのは、十二、三のころでした。街はずれの空き地で、黒い支那服を着た親方は、太い鉄棒をぶんぶんと振りまわしたり、それを空へ高く投げ上げて、上手に受け取ったり、また、片方の茶わんに隠した、赤や白の玉を、別の茶わんへかけ声一つでうつしたりして

JA
원문만

春風遍し

小川未明

春先になれば、古い疵痕に痛みを覚える如く、軟かな風が面を吹いて廻ると、胸の底に遠い記憶が甦えるのであります。 まだ若かった私は、酒場の堅い腰掛の端にかけて、暖簾の隙間から、街頭に紅塵を上げて走る風に眼を遣りながら独り杯を含んでいました。そして、迫り来る春昏の愁しみを洩らすによしなかったのです。その頃から、出不精の癖がついて、花が咲いたときいても、見物に出かけ

JA
원문만

春の鳥

国木田独歩

春の鳥 国木田独歩 一 今より六七年前、私はある地方に英語と数学の教師をしていたことがございます。その町に城山というのがあって、大木暗く茂った山で、あまり高くはないが、はなはだ風景に富んでいましたゆえ、私は散歩がてらいつもこの山に登りました。 頂上には城あとが残っています。高い石垣に蔦葛がからみついて、それが真紅に染まっているあんばいなど得も言われぬ趣でした

JA
원문만

昨今横浜異聞(一幕)

岸田国士

人物 田代三夫 同ぬい子 劉鯤 瑩芳 舞台は、横浜郊外にある田代三夫の家の応接間。 外人の設計になる瀟洒なヴィラを、特別の事情で安く借り受け、愛妻ぬい子と二人きりで、結婚後三年の今日、まだ蜜月の生活を楽しんでゐる田代は、永く海外で暮した結果、何処か日本人離れのした神経の鈍さと、それを補ふ感情の濃やかさがある。 細君のぬい子は、生粋の横浜ツ子で、両親は、外人相

JA
원문만

「昨今横浜異聞」この集を編むについて

岸田国士

今日まで活字として発表した戯曲のうち、凡そ半数は大小の劇場で脚光を浴びた。上演されたもの、必ずしも自信のあるものではなく、上演の成績も常に満足とばかりは云へないが、自分の作品を通じてみて、舞台にかけられたものには、おのづから一つの特色があり、その特色は、この集一巻の存在理由ともなるべきもので、著者としては、これを謂はゆる「芝居好き」の読者に送り、わが劇作生活

JA
원문만

昨今の話題を

宮本百合子

昨今の話題を 宮本百合子 大阪の実業家で、もう十四五年も妻と別居し別の家庭を営んでいる増田というひとの娘富美子が大金をもって家出をして、西条エリとあっちこっち贅沢な旅行をした後、万平ホテルで富美子が睡眠薬で自殺しかけた事は、男装の麗人という見出しで各新聞に連日報道された。 父親が写真をうつされ、大阪から上京した母や姉が金のかかった衣類の重い裾さばきをニュース

JA
원문만

昨日・今日・明日

織田作之助

当時の言い方に従えば、○○県の○○海岸にある第○○高射砲隊のイ隊長は、連日酒をくらって、部下を相手にくだを巻き、○○名の部下は一人残らず軍隊ぎらいになってしまった。 彼は蓄音機という綽名を持ち、一年三百六十五日、一日も欠かさず、お前たちの生命は俺のものだという意味の、愚劣な、そしてその埋め合わせといわん許りに長ったらしい、同じ演説を、朝夕二回ずつ呶鳴り散らし

JA
원문만

昭和二年の二科会と美術院

寺田寅彦

昭和二年の二科会と美術院 寺田寅彦 二科会(カタログ順) 有島生馬氏。 この人の色彩が私にはあまり愉快でない。いつも色と色とがけんかをしているようで不安を感じさせられる。ことしの絵も同様である。生得の柔和な人が故意に強がっているようなわざとらしさを感じる。それかと言ってルノアルふうの風景小品にもルノアルの甘みは出ていない。無気味さがある。少し色けを殺すとこの

JA
원문만

昭和五年に発表せる創作・評論に就て 「吊籠と月光と」その他

牧野信一

「僕は哲学と芸術の分岐点に衝突して自由を欠いた頭を持てあました。息苦しく、悩ましく、砂漠に道を失ふたまま、ただぼんやりと空を眺めてゐるより他に始末のない姿を保ちつゞけた。」 これは今年のはじめに発表された「吊籠と月光と」の冒頭の言葉で、そして私はこの作と「ラガド大学参観記」といふ作品とで、さうした砂漠の世界から駈け出して、不思議な原始生活の中に翼を拡げて、あ

JA
원문만

昭和十五年度の文学様相 現代文学の多難性

宮本百合子

今年の文学ということについて大略の印象をまとめようとすると、一つの特徴的な様相がそこに浮んで来るように思う。 それは作品と作家との間に生じた問題とも云える種類のものである。私たちが偏らない心で今年の文学を思いかえしたとき法外・格外の傑作、問題作、前進的作品というものは作品活動一般についてなかったと判断するにかかわらず、作家たちの動きは特に今年の後半に到って夥

JA
원문만

昭和の十四年間

宮本百合子

昭和の十四年間 宮本百合子 一 大正年代は、日本の文学界にもヨーロッパ大戦後の世界を洗いはじめたさまざまの文学的動きを、日本独特の土壤の上に成育させながら、極めて複雑な形で昭和に歩み進んだ。 ヨーロッパ大戦後の、万人の福利を希うデモクラシーの思想につれて、民衆の芸術を求める機運が起って『種蒔く人』が日本文学の歴史の上に一つの黎明を告げながら発刊されたのは大正

JA
원문만

昭和四年の文壇の概観

平林初之輔

社会現象の過程は、全体性においてのみ完全に理解することができるので、それを部分的に、局所的に理解することは不可能である。だから、昭和四年の文壇に起こった現象の過程も、他の社会現象との連関において、また、少なくも最近数年間の過程との連関においてのみ、はじめて理解することを許されるであろう。だが、ここではそういう企図ははじめから放擲せねばならぬ。私はただ若干の特

JA
원문만

昭和四年に発表せる創作・評論に就て 「山彦の街」について

牧野信一

「山彦の街」を、前編だけで、完了し忘れたのを遺憾に思つてゐます。あれは僕の脳裡を不断に去来してゐる共和国の一片です。某君が、何に材料を得たか? と問うたが、材料は空想です。空想ではありますが、日常の見聞が幾分姿を変へてゐる部分もあります。あれには主に酒場の場面ばかりを、書きましたが、夫々独立したものとして(何うでも関はないが)次の機会には「競技場」「図書館」

JA
원문만

是名優哉(一幕)

岸田国士

男甲に扮する俳優 女乙に扮する女優 舞台は神戸のあるホテルの休憩室 男と女とが茶卓を挟んで向ひ合つてゐる。 男  (煙草の煙を大きく吐き)   たうとう日が暮れました。   あの船では、もう夕食の鐘を鳴らしてゐるでせう。   瀬戸内海の島々に灯が点く頃   日本を離れる人たちの胸は   一斉に締めつけられるのです。女  (遠くを見つめながら)   でも、あの

JA
원문만

是は現実的な感想

宮本百合子

是は現実的な感想 宮本百合子 始めて郊外に住んで、今年は、永く美しく夏から次第に移り行く秋の風景を目撃した。これまで、春から夏になる――初夏の自然は度々亢奮して活々感じたが、秋をこのように、落ちる木の葉の色、雨の音にまで沁々知ったのは初めての経験であった。 九品仏その他、駒沢からこの辺にかけて、散歩するに気持よいところが沢山ある。名所ではないが、自然が起伏に

JA
원문만

昼のお月さま

小川未明

「万歳!」と、いう声が、どこか遠くの方から、きこえてきました。 「兄ちゃん、停車場だね、また、兵隊さんが出征するんだよ。」と、良二が、いいました。 「いってみようか、良ちゃん。」 兄の太郎は目をかがやかして、青々とした、秋の空を見やりました。 「ばんざい、ばんざあい。」と、いう声が、また、きこえました。 「兄ちゃん、いこう。」 二人は、往来を駅の方に向かって

JA
원문만

鷹野つぎ

時 鷹野つぎ 郷里の方の学校友達から、ふと二三度の便りがあつてから、しばらくして彼の女の息子を東京の学校へ入学させる用事をかねて、私をまで訪ねてくれた。 二十年近くも会はなかつたが、瞬時私は若いころの面影を素直に年をとらせた友達を見て意外なほどであつた。若し自然の年齢といふものがあるなら、彼の女の若い日のおもかげにそのまま徐かに年齢の影を宿してゐるやうな、そ

JA
원문만