Vol. 2May 2026

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人さまざまの苦労の話

佐藤春夫

老醜と云ふ言葉があるが、自分のむかしから最もきらいな言葉の一つである。ひどく幼稚な観念的な言葉で、老人を無条件でヘコマセてくれようといふ風な底意地の悪い政治的なずるさがあつて甚だ無邪気でないところへ、何よりも馬鹿な言葉なのがいやなのである。老がもし醜ならば、少も壮も、人間はすべて醜であらう。青春や壮年だけが美のやうに思ふのは通俗で幼稚極る観念である。少、壮に

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人蔘の精

田中貢太郎

これは人蔘で有名な朝鮮の話であります。其の朝鮮に張と云う人がありました。其の張は山の中や野の中を歩いて人蔘を掘るのが稼業でありました。ぜんたい人蔘というものは、山の中や野の中に自然に生えて、二十年も三十年も経った古いものでなくては体に利き目がありません。又そんなよい人蔘になりますと一本で何十円何百円にもなります。 張もそうした人蔘を捜して歩く者でありました。

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人の言葉――自分の言葉

寺田寅彦

人の言葉――自分の言葉 寺田寅彦 一 「おおかた古を考うる事、さらに一人二人の力もてことごとく明らめ尽くすべくもあらず。またよき人の説ならんからに多くの中には誤りもなどかなからん。必ずわろき事もまじらではえあらず。そのおのが心には、今は古の心ことごとく明らかなり、これをおきてはあるべくもあらずと思い定めたることも、思いのほかにまた人の異なるよき考えもいで来る

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人の身の上

小川未明

お花は、その時分叔父さんの家に雇われていました。まだ十七、八の女中でありました。小学校へいっていたたつ子は、毎日のように叔父さんのお家へ遊びにいっていました。叔父さんも、叔母さんも、たつ子をかわいがってくださいましたから、ほとんど、自分の家も、かわりがなかったのであります。 叔父さんの家には、お花のほかに、もう一人お繁という女中がおりました。年はかえって一つ

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人身御供と人柱

喜田貞吉

宮城二重櫓の下から白骨や古銭が出たので、やれ人柱だの、墓地であったのだろうだの、工事の際の傷死人を埋めたのであろうだのと、いろいろの説がある様だ。自分は単に新聞の報道でそれを知ったばかりで、まだ実地を知らないから、無論これに対して自信ある判断を下す事は出来ぬ。或いは自分の見た新聞の報道なるものが、幾分潤飾されていたものかもしれぬ。或いは誇大されていたのかもし

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人造人間

平林初之輔

人造人間 平林初之輔 1 村木博士は、いろいろな動物試験で、人工生殖の実験が成功したことを報告してから、たった今小使がもって来た二匹のモルモットを入れた檻を卓の上へとり出した。 「この白い方は、私が村木液の中で培養したモルモットです。黒の勝った方は、普通の親から生れたモルモットです。どちらも生後三週間のものですが、その発育状態は少しの相違も見られません。どう

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人造人間事件

海野十三

人造人間事件 海野十三 1 理学士帆村荘六は、築地の夜を散歩するのがことに好きだった。 その夜も、彼はただ一人で、冷い秋雨にそぼ濡れながら、明石町の河岸から新富町の濠端へ向けてブラブラ歩いていた。暗い雨空を見あげると、天国の塔のように高いサンタマリア病院の白堊ビルがクッキリと暗闇に聳えたっているのが見えた。このあたりには今も明治時代の異国情調が漂っていて、と

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人造人間戦車の機密 ――金博士シリーズ・2――

海野十三

1 魔都上海に、夏が来た。 だが、金博士は、汗もかかないで、しきりに大きな手押式の起電機を廻している。室内の寒暖計は、今ちょうど十三度を指している。ばかに涼しい室である。それも道理、金博士のこの実験室は、上海の地下二百メートルのところにあり、あの小うるさい宇宙線も、完全に遮断されてあるのであった。 天井裏のブザーが、奇声をたてて鳴った。 「ほい、また来客か。

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人造人間エフ氏

海野十三

人造人間エフ氏 海野十三 人造人間の家 このものがたりは、ソ連の有名な港町ウラジオ市にはじまる。そのウラジオの街を、山の方にのぼってゆくと、誰でもすぐ目につくだろうが、白い大きな壁と、そのうえに青くさびた丸い屋根をいただき、尖った塔が灰色の空をつきさすように聳えているりっぱな建物がある。 「ああ、じつにりっぱなお寺だなあ」 知らない人は、きっとそういうであろ

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人造人間の秘密

海野十三

人造人間の秘密 海野十三 ドイツ軍襲来 「おい、起きろ。ドイツ軍だ!」 隣室のハンスのこえである。部屋の扉は、いまにも叩き割られそうである。 私は、自分でも、なんだかわけのわからない奇声を発して、とび起きた。 扉は、めりめりと、こわれはじめた。 「もしもし、今、扉を叩きこわしていられるのは、ドイツ軍のお方ですか」 私は、いそいでズボンをはきながら、入口の方へ

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人造物語

海野十三

人造物語 海野十三 人造人間――1931年型である。 *   * 人造人間とはどんなものか。 人造人間とは、人間が作った人形で、そいつは、機械仕掛けで、人間の命令どおり、忠実に根気よく働く奴だ。 *   * さて、その人造人間が、ようやく、その存在を認められかけて来たようだ。 本誌「新青年」の新年号に、「人造人間殺害事件」という探偵小説が出たのも、その一つ。

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人間再建 ――ある病青年の告白――

北条民雄

私は彼の告白記を紹介する前に、一応私と彼との関係や、間柄を記して置きたいと思ふ。別段深い理由はないのだが、なんとなくさうして置きたいのだ。ついでに言つておくが、私は時々彼を不快な男だと思つて嫌悪を覚えることもあるが、しかしほんとを言へば私は彼を好いてゐる。と言ふよりも、愛してゐるくらゐだ。 彼は今年二十四で、身長は先づ五尺一寸くらゐであらうと思ふ。だから大き

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人間の卵

高田義一郎

『鳥類や魚類は、卵生動物として知られて居るが、それには例外がある。例へばあの――金魚屋に賣つて居るメダカといふ小魚――一口にメダカと云つても、その種類は六百種からあつて、地球上到る處に分布して居るが――あの小魚には卵生のみならず、胎生のものもある。胎生のメダカは、或る特殊の交尾をした場合に限つて出來る。この事實は今から六七十年も前から、その研究者に依て認めら

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人間否定か社会肯定か

小川未明

私達は、この社会生活にまつわる不義な事実、不正な事柄、その他、人間相互の関係によって醸成されつゝある詐欺、利欲的闘争、殆んど枚挙にいとまない程の醜悪なる事実を見るにつけ、これに堪えない思いを抱くのであるが、それがために、果して人間そのものについて疑いを抱かないだろうか。 知らぬ人間を容易に信じてはならないということは、一般の人々の習わしの如くになっている。そ

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「人間宣言」のうちそと

前田多門

いったい私は日記をつけないし、記憶力の方はというと自分でもあきれるほど悪いのだが、ただ昭和二十年の、つまり終戦の年の十二月二十三日という日付は、私の頭に非常にはっきりと刻みつけられて、いまもって忘れることが出来ない。 十二月二十三日はちょうど日曜にあたっていた。それは、本題からはちょっとはなれた事柄にあたるわけだが、かねて私の恩師の新渡戸稲造先生の銅像が多磨

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人間性の深奥に立って

小川未明

私は学校教育と云うものに就ては、現在の状況からすると小学校のそれに最も重きを置く。それは今日の状態にあっては大学及び其の他の専門学校と云うものは殆んど民衆にとってはこれと云う貢献がないと信ずるからである。何故かと云うに一般民衆にとって大学教育を受くると云うことは経済的に殆んど不可能の事であるし、今一つは大学教授と云うような人は自分の専門的の学科には忠実であろ

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人間悪の創造

折口信夫

人間惡の創造 折口信夫 若い頃、よく衆生の恩など言ふ語を教はつたものだが、その用語例に包含させては、ちよつと冷淡過ぎる氣もする。併し誰でも讀んで居り、又その中の何分の一かゞ、ちよつとも讀まないでゐて、而も讀んだ世間から押しよせて來る知識によつて、一體の智慧の水準の高まつてゐると言ふことは珍しく言ふ程のことはない。明治以後さういふ影響を殘した書物を數へ立てれば

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人間の本性

片上伸

田山花袋氏はセンティメンタリズムを説明して、センティメンタリズムといふのは、斯うありたい、あゝありたいと思ふ願ひを誇張して、理想的な心持から空想的な状態になつて行くものだ。と云つて居る。花袋氏の其の言葉の意味は、即ち、對象の實際持つて居ないものを、持つて居て貰ひたいと思ひ、又、持つて居るやうに感ずるのがセンティメンタリズムであると云ふ意味でもあるやうだ。 そ

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人間と湯沸かし

小川未明

ある日のこと、女中はアルミニウムの湯沸かしを、お嬢さんたちが集まって、話をしていなされたお座敷へ持ってゆくと、 「まあ、なんだね、お竹や、こんな汚らしい湯沸かしなどを持ってきてさ。これは、お勝手で使うのじゃなくって?」 と、お家のお嬢さんは、目をまるくしていわれました。 お友だちの方も、その方を見て、みんなが、たもとを口もとにあてて笑われました。なぜなら、そ

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人間繁栄

豊島与志雄

人間繁栄 豊島与志雄 津田洋造は、長男が生れた時、その命名に可なり苦しんで、いろいろ考え悩んだ末、一郎と最も簡単に名づけてしまった。長女が生れた時も、やはり同様にして、丁度春だったので、春子と最も簡単に名づけた。そして、それが結局好都合となった。彼は男の子が出来る毎に、二郎、三郎、四郎……と順々に名づけていった。九郎まできたら、此度は自分の名前を一字冠して、

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人間製造

国枝史郎

大阪の町は寂しかった。 夜はもう三時を過ごしている、つまり時刻は真夜中であった。其時一人の労働者が力の無い足どりで歩いて来た。 「今日で俺は二日、飯を食わねえ、いつマア食物に有りつけるんだろう? 一寸先ぁ暗闇だ。何時ありつけるか知れたものじゃねえ。と為ると生命の問題だ! へ、人間て云う奴ァ屹度恐らく此様時に盗賊根性を起こすんだろうぜ。何しろ生命の問題だからな

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「人間キリスト記」その他

太宰治

山岸外史氏の「人間キリスト記」を、もつと、たくさんの人に讀んでもらひたい、と思つてゐる。さうして、讀後の、いつはらざる感想を、私は、たくさん、たくさん、聞いてみたい。それは、山岸のため、といふよりは、むしろ、私自身の開眼のために聞いてみたい。遠慮なさらず、思つたこと、たくさん教へてもらひたい。私も、さうであるが、山岸の表現に就いての努力は、たつたいまのこの苦

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人面凝視

今野大力

ふとして眺むれば 彼処に笑めるは一人の不可解なる精霊の所有者である われは今その面を見つつ想う 唇…… おおそは紅の渕に囲われし底知れぬ沼である 鼻…… おおそはまろみあるエジプトのピラミットである 眼…… おおそはうるおい耀く黒曜石の玉を秘めし二つの湖水である 眉…… おおそは湖水をめぐりて小丘の上に繁れる林である おおなめらかに広き無毛の原を過ぎ行けば

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人面瘡物語

田中貢太郎

谷崎潤一郎氏に人面疽のことを書いた物語がある。其の原稿はある機会から私の手に入って今に保存されているが、何んでも活動写真の映画にあらわれた女のことに就いて叙述したもので、文学的にはさして意味のあるものでもないが、材料が頗る珍奇であるから、これは何か粉本があるだろうと思って、それとなく注意しているうち、諸国物語を書くことになって種々の随筆をあさっていると、忽ち

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