Vol. 2May 2026

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銭形平次捕物控 079 十七の娘

野村胡堂

荒物屋のお今――今年十七になる滅法可愛らしいのが、祭り衣裳の晴れやかな姿で、湯島一丁目の路地の奧に殺されて居りました。 「まア、可哀想に」 「あんな人好きのする娘をねエ」 ドツと溢れる路地の彌次馬を、ガラツ八の八五郎、どんなに骨を折つて追ひ散らしたことでせう。 「えツ、寄るな/\、見世物ぢやねえ」 遠い街の灯や、九月十四日の宵月に照されて、眼に沁むやうな娘の

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銭形平次捕物控 080 捕物仁義

野村胡堂

江戸開府以來といはれた、捕物の名人錢形平次の手柄のうちには、こんな不思議な事件もあつたのです。――これは世に謂ふ捕物ではないかも知れませんが、危險を孕むことに於ては、冷たい詭計に終始した捕物などの比ではないと言へるでせう。 「親分ツ」 飛込んで來たのは、ガラツ八の八五郎でした。 「何といふあわてやうだ。犬を蹴飛ばして、ドブ板を跳ね返して、格子を外して、――相

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銭形平次捕物控 080 捕物仁義

野村胡堂

江戸開府以来といわれた、捕物の名人銭形平次の手柄のうちには、こんな不思議な事件もあったのです。――これは世に謂う捕物ではないかも知れませんが、危険を孕むことにおいては、冷たい詭計に終始した捕物などの比ではないといえるでしょう。 「親分ッ」 飛込んで来たのは、ガラッ八の八五郎でした。 「何というあわてようだ。犬を蹴飛ばして、ドブ板を跳ね返して、格子をはずして、

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銭形平次捕物控 081 受難の通人

野村胡堂

錢形平次が關係した捕物の中にも、こんなに用意周到で、冷酷無慙なのは類のないことでした。 元鳥越の大地主、丸屋源吉の女房、お雪といふのが毒死したといふ訴へのあつたのは、ある秋の日の夕方、係り同心漆戸忠内の指圖で、平次と八五郎が飛んで行つたのは、その日も暮れて街へはもう灯の入る時分でした。 「へエー、御苦勞樣で――」 出迎へた番頭の總助の顏は眞つ蒼。 「錢形の親

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銭形平次捕物控 081 受難の通人

野村胡堂

銭形平次が関係した捕物の中にも、こんなに用意周到で、冷酷無慙なのは類のないことでした。 元鳥越の大地主、丸屋源吉の女房、お雪というのが毒死したという訴えのあったのは、ある秋の日の夕方。係り同心漆戸忠内の指図で、平次と八五郎が飛んで行ったのは、その日も暮れて街へはもう灯の入る時分でした。 「ヘエー、御苦労様で――」 出迎えた番頭の総助の顔は真っ蒼。 「銭形の親

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銭形平次捕物控 082 お局お六

野村胡堂

紅葉は丁度見頃、差迫つた御用もない折を狙つて、錢形平次は、函嶺まで湯治旅と洒落ました。 十手や捕繩を神田の家に殘して、道中差一本に、着換の袷が一枚、出來るだけ野暮な堅氣に作つた、一人旅の氣樂さはまた格別でした。 疲れては乘り、屈託しては歩き、十二里の長丁場を樂々と征服して、藤澤へあと五六町といふところまで來たのは、第一日の申刻過ぎ――。 「おや?」 平次はフ

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銭形平次捕物控 082 お局お六

野村胡堂

紅葉はちょうど見ごろ、差迫った御用もない折を狙って、銭形平次は、函嶺まで湯治旅と洒落ました。 十手や捕縄を神田の家に残して、道中差一本に、着替えの袷が一枚、出来るだけ野暮な堅気に作った、一人旅の気楽さはまた格別でした。 疲れては乗り、屈託しては歩き、十二里の長丁場を楽々と征服して、藤沢へあと五六町というところまで来たのは、第一日の申刻(四時)過ぎ――。 「お

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銭形平次捕物控 083 鉄砲汁

野村胡堂

「親分、近頃金の要るやうなことはありませんか」 押詰つたある日、錢形平次のところへノツソリとやつて來たガラツ八の八五郎が、いきなり長い顎を撫でながら、こんなことを言ふのです。 「何だと? 八」 平次は自分の耳を疑ふやうな調子で、長火鉢に埋めた顏をあげました。 「へツ/\、へツ/\、さう改まつて訊かれると極りが惡いが、實はね、親分。思ひも寄らぬ大金が轉がり込ん

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銭形平次捕物控 083 鉄砲汁

野村胡堂

「親分、近頃金の要るようなことはありませんか」 押詰ったある日、銭形平次のところへノッソリとやって来たガラッ八の八五郎が、いきなり長い顎を撫でながら、こんなことを言うのです。 「何だと? 八」 平次は自分の耳を疑うような調子で、長火鉢に埋めた顔をあげました。 「へッへッ、へッへッ、そう改まって訊かれると極りが悪いが、実はね、親分、思いも寄らぬ大金が転がり込ん

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銭形平次捕物控 084 お染の歎き

野村胡堂

「八、あの巡礼を跟けてみな」 平次は顎をしゃくって見せました。が、浅草橋の御見附を越して、浜町の方へトボトボと辿って行く男巡礼、頽然とした六十恰好の老爺に、何の不思議があろうとも、ガラッ八の八五郎には思えなかったのです。 「あの、拙い御詠歌をやって歩く――」 「そうだよ」 八五郎はそれ以上の問答を重ねませんでした。主人の命令を受けた猟犬のような素早さで、老巡

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銭形平次捕物控 085 瓢箪供養

野村胡堂

「あ、八じゃねえか。朝から手前を捜していたぜ」 路地の跫音を聞くと、銭形平次は、家の中からこう声をかけました。 「ヘエ、八五郎には違えねえが、どうしてあっしと解ったんで?」 仮住居の門口に立ったガラッ八の八五郎は、あわてて弥蔵を抜くと、胡散な鼻のあたりを、ブルンと撫で廻すのでした。 「橋がかりは長えやな、バッタリバッタリ呂律の廻らねえような足取りで歩くのは、

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銭形平次捕物控 086 縁結び

野村胡堂

「八、まあそこへ坐れ、今日は真面目な話があるんだ」 「ヘエ――」 八五郎のガラッ八は、銭形平次の前に、神妙らしく膝小僧を揃えました。 「外じゃねえが、――手前もいつまでも独りじゃあるめえ、いい加減にして世帯を持つ気になっちゃどうだ」 平次は二三服立て続けに吸った煙管をポンと投り出して、八五郎の方へ心持ち身体をねじ向けるのでした。 「ヘエ――」 「ヘエ――じゃ

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銭形平次捕物控 087 敵討果てて

野村胡堂

その日、三河屋に集まった客は四人、将棋にも碁にも飽きて、夕刻からは埒もない雑談に花が咲きました。 「内証事は隠しおおせるものじゃない。不思議なことに、他から漏れずに、本人の口から知れるものさ」 そう言ったのは隣の乾物屋、伊勢屋玉吉という四十男でした。 「いや、それは性根が定まらない人間のことだ。少し心掛けのある人間なら、口外すまいと思い定めたことは、骨が舎利

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銭形平次捕物控 088 不死の霊薬

野村胡堂

「親分、どうなすったんで?」 ガラッ八の八五郎は、いきなり銭形平次の寝ている枕許に膝行り寄りました。 「八か、――風邪を引いたんだよ。寝ているのも馬鹿馬鹿しいが、熱が高くて我慢にも起きちゃいられねえ」 平次は手拭で額を縛って、真っ赤な顔をしてフウフウ言っているのです。 「そいつはいけねえ、悪い風邪が流行るんですってね、気をつけなくちゃいけませんよ」 ガラッ八

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銭形平次捕物控 089 百四十四夜

野村胡堂

「親分、退屈だね」 ガラッ八の八五郎は、鼻の穴で天文を観るような恰好を取りました。 「呆れた野郎だ。小半日空を眺めて欠伸をしていりゃ、猫の子だって退屈になるよ。庭へ降りて来て手伝いな。跣足になると、土が冷やりとして、とんだいい心持だぜ」 平次はそう言いながら、せっせと植木鉢の世話をしております。 青葉と初鰹と時鳥で象徴される江戸の五月は天気さえよければ、全く

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銭形平次捕物控 090 禁制の賦

野村胡堂

笛の名人春日藤左衛門は、分別盛りの顔を曇らせて、高々と腕を拱きました。 「お師匠、このお願いは無理でしょうが、亡くなった父一色清五郎から、お師匠に預けた禁制の賦、あれを吹けば、人の命に拘わるという言い伝えのあることも悉く存じておりますが、お師匠の許を離れる、この私への餞別に、たった一度、ここで聴かして下さるわけには参りませんでしょうか」 一色友衛は折入って両

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銭形平次捕物控 090 禁制の賦

野村胡堂

笛の名人春日藤左衞門は、分別盛りの顏を曇らせて、高々と腕を拱きました。 「お師匠、このお願ひは無理でせうが、亡くなつた父一色清五郎から、お師匠に預けた禁制の賦、あれを吹けば、人の命に拘はるといふ言ひ傳へのあることも悉く存じて居りますが、お師匠の許を離れる、この私への餞別に、たつた一度、此處で聽かして下さるわけには參りませんでせうか」 一色友衞は折入つて兩手を

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銭形平次捕物控 091 笑い茸

野村胡堂

伽羅大尽磯屋貫兵衛の涼み船は、隅田川を漕ぎ上って、白鬚の少し上、川幅の広いところを選って、中流に碇をおろしました。わざと気取った小型の屋形船の中は、念入りに酒が廻って、この時もうハチ切れそうな騒ぎです。 「さア、皆んな見てくれ、こいつは七平の一世一代だ――おりん姐さん、鳴物を頼むぜ」 笑い上戸の七平は、尻を端折ると、手拭をすっとこ冠りに四十男の恥も外聞もなく

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銭形平次捕物控 091 笑い茸

野村胡堂

伽羅大盡磯屋貫兵衞の凉み船は、隅田川を漕ぎ上つて、白鬚の少し上、川幅の廣いところを選つて、中流に碇をおろしました。わざと氣取つた小型の屋形船の中は、念入りに酒が廻つて、この時もうハチ切れさうな騷ぎです。 「さア、皆んな見てくれ、こいつは七平の一世一代だ――おりん姐さん、鳴物を頼むぜ」 笑ひ上戸の七平は、尻を端折ると、手拭をすつとこ冠りに四十男の恥も外聞もなく

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銭形平次捕物控 092 金の茶釜

野村胡堂

「親分、金の茶釜を拝んだことがありますかい」 ガラッ八の八五郎は、変なことを持込んで来ました。 「知らないよ、金の茶釜や錦の小袖はフンダンにあるから、拝むものとは思わなかったよ」 銭形平次は無関心な態度で、よく澄んだ秋空を眺めておりました。見立て三十六歌仙の在五中将が借金の言い訳を考えているといった姿態です。 「ヘエ――、あの品川の流行ものを、親分は知らない

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銭形平次捕物控 093 百物語

野村胡堂

公儀御用の御筆師、室町三丁目の「小法師甲斐」は、日本橋一丁目の福用、常盤橋の速水と相並んで繁昌しましたが、わけても小法師甲斐は室町の五分の一を持っているという家主で、世間体だけはともかくも、大層な勢いでした。 江戸中に筆屋の数は何百軒あったかわかりませんが、鉛筆も万年筆も無い世の中ですから、これが相当以上にやって行けたわけです。そのうち公儀御用というのが七軒

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銭形平次捕物控 094 死相の女

野村胡堂

「親分、お早う」 ガラッ八の八五郎は、顎をしゃくってニヤリとしました。 「何がお早うだい、先刻上野の午刻(十二時)が鳴ったぜ、冗談じゃない」 銭形の平次は相変らず、狭い庭に降りて、貧弱な植木の世話に没頭しておりました。 「親分の前だが、今日は嬉しくてたまらねえことがあるんだ」 「それで朝寝をしたというのかい、呆れた野郎だ、昨夜どこかで化かされて来やがったろう

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銭形平次捕物控 095 南蛮仏

野村胡堂

屑屋の周助が殺されました。 佐久間町の裏、ゴミ溜めのような棟割長屋の奥で、魚のように切られて死んでいるのを、翌る朝になってから、隣に住んでいる、蝮の銅六という緡売りの、いかさま博奕を渡世のようにしている男が見付け、町内の大騒動になったのです。 周助はもう六十に手の届いた男、鉄砲笊を担いで江戸中を廻り、古着、ガラクタ、紙屑までも買って歩いて、それを問屋に持込み

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銭形平次捕物控 096 忍術指南

野村胡堂

「八、身体が暇かい」 銭形平次は、フラリと来たガラッ八の八五郎をつかまえました。 「有難いことに、あっしが乗出すような気の利いた事件は一つもねえ」 「大きな事を言やがれ」 二人は相変らずの調子で話を始めました。 「いったい何をやらかしゃいいんで、親分」 「左内坂に忍術指南の看板を出した浪人者があるというじゃないか」 「聴きましたよ、成瀬九十郎とかいって」 「

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