泉鏡花 · 일본어
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원문 (일본어)
これは、大工、大勝のおかみさんから聞いた話である。 牛込築土前の、此の大勝棟梁のうちへ出入りをする、一寸使へる、岩次と云つて、女房持、小兒の二人あるのが居た。飮む、買ふ、摶つ、道樂は少もないが、たゞ性來の釣好きであつた。 また、それだけに釣がうまい。素人にはむづかしいといふ、鰻釣の絲捌きは中でも得意で、一晩出掛けると濕地で蚯蚓を穿るほど一かゞりにあげて來る。 「棟梁、二百目が三ぼんだ。」 大勝の臺所口へのらりと投込むなぞは珍しくなかつた。 が、女房は、まだ若いのに、後生願ひで、おそろしく岩さんの殺生を氣にして居た。 霜月の末頃である。一晩、陽氣違ひの生暖い風が吹いて、むつと雲が蒸して、火鉢の傍だと半纏は脱ぎたいまでに、惡汗が浸むやうな、其暮方だつた。岩さんが仕事場から――行願寺内にあつた、――路地うらの長屋へ歸つて來ると、何かものにそゝられたやうに、頻に氣の急く樣子で、いつもの錢湯にも行かず、さく/\と茶漬で濟まして、一寸友だちの許へ、と云つて家を出た。 留守には風が吹募る。戸障子ががた/\鳴る。引窓がばた/\と暗い口を開く。空模樣は、その癖、星が晃々して、澄切つて居ながら、風は尋常な
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